『また来てマチ子の、恋はもうたくさんよ』第6話~第10話(最終話)感想

忙しい年度末のため、ブログ更新ができませんでした。しかし、私立恵比寿中学小林歌穂さん主演のドラマ『また来てマチ子の、恋はもうたくさんよ』はちゃんと最後まで見てましたので、最後まで感想をまとめようと思います。

ちなみに、これまでの感想は、

第1話・第2話(http://kansouokiba.hatenablog.com/entry/2018/01/25/043930

第3話(http://kansouokiba.hatenablog.com/entry/2018/01/31/153339

第4話~第5話(http://kansouokiba.hatenablog.com/entry/2018/02/15/124740

です。

各話感想

第6話

  • これからどうするのだろうかと思っていたら、もう1月21日を1000回も繰り返しているというスピーディーな展開。
  • 意味深だった古民家好きの外国人さんは、マチ子に一喝されてすぐに退場。
  • 第1話でタモツがフリクションペン(こすると消えるペン)を使って字を消していた描写が伏線だった!交換日記を冷やしたら、消していた文字が浮かび上がってきた。
  • カオリに思いを伝えるマチ子の演技が素晴らしい。
  • カオリにタモツの本音を伝えることができて、さあ最後の1回と思ったら、横島の大将が邪まの神=邪神で時の神を捕らえるというまさかの展開。あまりの展開に唖然としました。

第7話

  • 邪神が本当に邪悪そうに煎餅を食べる姿に思わず笑ってしまいました。
  • 邪神の眷族的な四町神の名前も、マチオカとかハナマサとか、どこかで聞いたことのあるお店の名前。
  • 邪神が時の神を幽閉したのは、彼が1000回もアーケードを直し続けたせいだったという理由。心の底から同情。
  • マチ子の「歯のないおばあちゃん」がほぼアドリブだったみたいです。

     真顔に戻る表情の演技が素晴らしかった。

第8話

  •  同じ日をたくさん繰り返しながら、マチ子は名人級のバリスタとしての技能を身につけていました。コーヒーのうんちくを語る姿に、なぜか笑ってしまいました。
  • クズ社長も人脈を広げたり自動車整備の技術を身につけたりしてました。男前すぎる。もうクズとは口が裂けても言えません。
  • まさかのカオリの妨害で、マチ子たちの試みは失敗。しかし、カオリから依頼を受けたら、一瞬で国会や株式を操れる婚約者はどれほどの権力を持ってるのでしょうか。

第9話

  • 並行世界のシタマチ国からマチ子とタモツが来るという超展開。タイムリープもののSFなだけではなく、並行世界もあるSFとは思いませんでした。本当になんでもありで、脚本がやりたい放題。
  • カオリを説得するマチ子の言葉、「わたし待つの」という言葉が胸に痛いです。
  • ついにカオリとタモツが結ばれてめでたいと思っていたら、マチ子がハブに噛まれた!どうなる?

第10話

  • マチ子がいない3月21日。しかし、どうも出かけているだけのような口ぶり。やはり予備校の合宿でいなかっただけでした。
  • 時の神のイラっと来る演技が最高。
  • 前回ハブに噛まれたのは入れ替わってたシタマチ国のマチ子。ハブ毒の予防接種済みで無事。
  • マチ子が結婚式を想って語る長台詞が素晴らしい。
  • ハッピーエンド!本当に良い話でした。

 シリーズを通して

全10話、タイムリープあり、神や邪神あり、並行世界あり、で良い意味でハチャメチャなコメディーでした。ハッピーエンドのためにもがき続けて、ついにハッピーエンドに到達するという物語で、コメディなのに感動的でもありました。

そして、主演の小林歌穂さんは、尋常ではないセリフの量で、演じるプレッシャーもあったかと思いますが見事に演じきったかと思います。この演技の経験は、彼女の財産になるのではないでしょうか。

脇を固める皆さんの演技も素晴らしかったです。個人的には、邪神を演じた仲義代さんの演技が楽しかったです。特に邪神として正体を現した後の、邪悪さがにじみ出す演技が素敵でした。時の神役の風間さなえさんの、ちょっとイラっと来る感じの演技もくせになりそうで良かったです。

松野さんのモチーフ

基本的には人情SFコメディーでしたが、もう一つ隠れたモチーフとして松野莉奈さんのことがあります。マチ子のセリフで「わたし待つの」は明確に「わたし松野」という言葉をオーバーラップさせたものだと言えましょう。その他、松野さんのことを思い起こさせるようなセリフが散りばめられていました。

最終話の日付も彼岸の中日である春分の日でした。この日は、彼岸に旅立った故人に思いを馳せ、墓参をする日です。この日が選ばれたのは、休日ということもあるでしょうが、死者の追悼ということも理由の一つであるように思えます。

マチ子がこの日に結婚式について語るシーンは、私立恵比寿中学の2014年の東西大学芸会における松野さんのソロ曲を思い出させます。

www.youtube.com故人を偲ぶ日に語られる、みんなが祝福する結婚式。来るはずだった未来を重ねたのは私だけではないでしょう。

松野さんの担当カラーだった青いバンダナをしたマチ子は、初回でハブに噛まれて亡くなります。しかし、クズ社長が時の神に祈ったおかげで死ぬ未来とは違う未来に進むことになります。

現実はこのドラマのようにやり直せません。しかしフィクションの中では、繰り返し、やり直せます。フィクションは生を反復し、生き直すことを可能にします。来なかった未来、来てほしかった未来を生き直すことができます。

『また来てマチ子の、恋はもうたくさんよ』は、フィクションの力を通じて、ハッピーエンドを創り出す、そんな物語でした。