表題の通り、土屋亮一さん率いるシベリア少女鉄道の舞台「残雪の轍(わだち)/キャンディポップベリージャム!」を池袋サンシャイン劇場で観劇してきました。
私立恵比寿中学の安本彩花さんが出演するということで、エビ中ファミリーとして勇んで参戦しましたが、本当に楽しい舞台でした。
公演も終了して、おそらくDVD化もされないと思われるので、ネタバレを含んだ感想を述べたいと思います。
あらすじ
「残雪の轍(わだち)」
忍者の修行に明け暮れるかえで(安本彩花)は、都からやってきた少女つばき(中島早貴)と出会った。つばきとの仲を深めていくかえでであったが、別れの時がやってきてしまう。実はつばきと彼女の母は、対立する勢力の忍者であり、戦争が始まったため、都に戻ることになったのである。
かえでの父は、つばきの母たちの勢力との戦争に臨むため、かえでを一人里に残し、過酷な任務へと赴く。かえでは一人、強く生きることを誓うのであった。
「キャンディポップベリージャム!」
冬休みの大学の女子寮に残ったミキ(小関えりか)とクミ(風間さなえ)は、ケンカしてしてしまったさくら(安本彩花)とすみれ(中島早貴)を仲直りさせようと、サプライズパーティーを計画し、管理人のマユミ(篠塚茜)に協力を依頼した。
しかしマユミの元カレのタカハシ(加藤雅人)の登場や、すみれが旅先で知り合ったタナカ(吉田友則)をさくらが誘惑するなど、事態は混迷を極めることになる。
実はさくらはかえでの子孫であり、すみれはつばきの子孫であった。そのため、なぜかタイムスリップして女子寮で戦い始めたかえでの父とつばきの母の行動は、子孫のさくらとすみれに影響を与える。
例えばつばきの母がベリージャムを食べることによって、すみれの視力が劇的に向上する。さらにつばきの母がマグロを食べることによって、すみれの頭が良くなったりするのである。
こうして、さくらとすみれは、かえでの父やつばきの母の言動によって、グレてしまったり、某国の最高指導者になってしまったりする。さらには二人の変身が周りにも影響を与え、ドラゴンボールの世界へと変わっていく。最後にドラゴンボールを集めて神龍に仲直りを願って大団円を迎えることになる。
感想
あらすじだけを見ても、「いったい何だこれは」という感じではないでしょうか。実際、話はメチャクチャといえばメチャクチャです。しかし、メチャクチャな話に見えてルールはきちんと存在しており、実は「残雪の轍(わだち)」パートはそのルールの説明となっていたのです。
シリアスな演劇に見せかけながら、次のパートのルールを説明するために、「残雪の轍(わだち)」パートは、思わせぶりで冗長なセリフが多かったように思えます。「こういうルールだ」と説明するわけにはいかないので、思わせぶりなセリフになってしまうのは仕方ないことではあります。演技の点で言えば、忍びの里の娘としてひたむきに生きる「かえで」を演じる安本彩花さんの演技は、清冽で美しいものでした。
「キャンディポップベリージャム!」パートでは、一転してドタバタコメディが展開されます。「残雪の轍(わだち)」パートで暗示されたルールに基づき、「さくら」と「すみれ」はどんどんキャラクターが入れ替わっていきます。キャラクターと世界観がどんどん変わりながら、伏線を張り巡らせて、クライマックスで収束する脚本の妙は素晴らしいものでした。
安本彩花さんと中島早貴さんは、コロコロ変わるキャラクターを見事に演じきったと思います。エビ中ファミリーとしては、小悪魔系彩ちゃんがとても良かったです。
キャラクター入れ替えのため、安本さんと中島さんは舞台からいなくなる時間が多くなります。しかし、女子寮の面々を演じる篠塚茜さん、風間さなえさん、小関えりかさんがしっかりとした演技で舞台を支えてくれました。
とにかく、声を出して何度も笑いました。最高の脚本で、土屋亮一さんは本当に凄いなと思いました。エビ中ファミリーとして、安本彩花さんの様々な面を引き出してくれた手腕に感謝です。